農地と隣接して建つ農家住宅であった奥様のご実家の敷地の一角に、これからセカンドライフをむかえるご夫婦の終の棲家として、親やお互いの介助も視野に入れた住まいを計画した。
南北に広がる敷地とのつながりと、それぞれの諸室の分接を考慮して、建物全体をゆったりと覆う大屋根の下に五つの白い塗り壁の箱を配置。その箱の内部に閉じた空間(寝室、書斎、水回り、クローゼット)、それらの間(あわい)の空間にリビングダイニングなどを配し、家全体をゆるやかにつないだ。また外部とのつながりを提案するにあたり、既存の樹木と畑が広がる南庭と隣地から少し距離を取り植栽を配した北庭をそれぞれの居場所から楽しめるよう計画した。特に生活の中心の場であるLDKは、南北双方の庭に向けて天井や床の木板を延長させることで、木の温もりや林の中にいるような開放感を内外共に感じられるようにし、自然の光・風・緑を最大限享受できるよう図った。また、これからを考え、介助等も想定した手すりの設置や動作のために余裕のあるの空間づくりについても考慮した。
ご夫婦それぞれの趣味(ご主人:音楽。奥様:いけばな、茶道など。)をお互いに気兼ねなく楽しめ、これからますます余裕のある家時間を程よい距離感で過ごせるすまいになることを目指した。
撮影:CRAFTIS MEDIA