住み慣れているが老朽化が進んだおじいさんの家を壊し、建替えによる2世帯住宅を計画。
構造上の耐久性だけでなく、数十年後の家族の姿を想像し、ライフスタイルの変化や世代交代等(機能面での耐久性)に対応できるように構造計画をシンプルにし、将来のメンテナンスを見据えた設備計画、飽きのこない建築デザインを熟慮し提案。思い入れはあるが、解体しなければならないおじいさんの家の大黒柱を両世帯それぞれのダイニングテーブルの脚として、ご先祖の記憶とともに一番家族の集まる場所に組み込み、思い入れの部分も含め、代々住み継がれるような家を目指した。
2面接道の敷地特徴を生かし、親・子世帯の駐車場・アプローチを対角線上に計画し、距離は近いがコンクリートの壁によって区切った玄関、両世帯の建物を南北にずらして既存の庭木を眺めることができるが、それぞれの世帯から視線が合わないように配慮した配置計画などにより、普段の生活においてはお互いに気配を感じずに生活ができるが、何かの時にはすぐに行き来ができ、末永く気兼ねなく2世帯間の着かず離れずの絶妙な距離感を一つの大屋根で包み込むようにプライバシーとひろがりを両立した分離型2世帯住宅を提案した。
撮影:穂坂昭