『四万ブルー』と呼ばれている神秘的な湖面の色を持つ奥四万湖(四万川ダム)。この色を一目見ようと観光客の数は年々増え続けている。飲食店等がない湖畔に建つ、元々ダムの資料館や温泉施設として使われてきた公共施設。ダム資料館の機能は残しつつ、この一部に湖を望みくつろぐ、観光の拠点ともなるカフェを計画。
既存の風除室前から、看板を兼ねた木板の壁を屋内へと連続させ、エントランスから奥のカフェへと導くだけでなく、コンクリート造の四角い建物の中に多方向の面をつくり、カフェ・観光案内・ダム資料館の空間を面によって緩く区切った。また今後この空間でクラシックやジャズの演奏会を開催していくため、この壁の多面性が演奏時の音の反響等を軽減するよう図った。
窓際は床を上げたり、カウンター席を設けることで、視線を高め、湖を望みながら食事を楽しめる展望席を設けた。また床の段差を利用し、演奏会の際には観客席として、多面の壁によってうまれるステージスペースを少し上から見渡すことができる。
少人数による運営のため、エントランスや資料館、カフェのお客さんの様子を一斉に管理できるよう、カウンターキッチンを館内の中央に配置し、全体的に見渡せるよう計画を行った。
全体的に見渡せるカウンターキッチンから、店主もコーヒーを入れながら湖のブルーを眺める。
撮影:穂坂昭