きざはしのいえ

広々とした高低差のある敷地は、元々は農地として利用され、高低差に合わせた段々畑となっていた。周辺は最近住宅の新築が行われているので、将来近隣に家が建つこともあらかじめ想定し、高低差のある敷地・様々な高さの5層床の段々(きざはし)・凸凹のある平面計画を組み合わせることで道路からの視線を遮り、プライバシーを確保しつつ風・光・緑を取り込む開放感のある住空間を目指した。

5層の床(玄関・ポーチ/各個室/キッチン・水廻り/畳室リビングダイニング/ウッドデッキ)を建て主の生活スタイルや周辺環境を考慮して設定。例えば、家族が集まるリビングダイニング空間の床を上げ、その外部にさらに高さを上げたウッドデッキを配し、高さの低い東側に配置することで道路側からの視線を遮り、プライバシーを守る計画としたり、キッチンと向かい合ったダイニングカウンターは、キッチン床と床座となるダイニング床の高さをコントロールすることで、家族のコミュニティの中心となる食事スペースとなり、夜は庭を眺めながら晩酌を行うこともできる。

施工面において、十分に自然乾燥させた杉、桧、唐松材を中心に材料を吟味し、熟練の棟梁と若き大工により墨付け・手刻みした軸組を組み上げ、造作材も杉中心に使用し、仕上も自然素材中心に仕上げることで、伝統技術の継承とともに環境と健康に配慮した。

撮影:穂坂昭

  • 所在地:群馬県中之条町
  • 竣工:2019年6月
  • 構造:木造平屋建て
  • 延床面積:141.60㎡(うち車庫面積33.12㎡)
  • 外部仕上げ:[屋根]ガルバリウム鋼板葺き[外壁]ジョリパット塗り ガルバリウムサイディング張り
  • 内部仕上げ:[床]ナラ縁甲板張り[壁]珪藻土塗り[天井]杉縁甲板張り
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