閑静な住宅街にある分譲地の一番奥にある敷地で、さらに奥の東側にも道はあるが獣道のようになっており人通りはほぼなく、向かいには樹木が生い茂っている。そこで隣地の借景を生かした計画とし、南北に大きい家型ボリュームに東西に大きさの違う中・小2つの家形ボリュームを直交させた3つの家型ボリュームの組み込み方(家ぐみ)と配置計画により、周辺からの視線を遮りつつ風・光・緑を取り入れた住まいを提案した。
家形ボリューム(大)のダイニングキッチン上部は吹抜けとなっており、2階の子供室、スタディーコーナーに繋がる開放感ある空間とした。その2階は、床の低いガレージ上に配置することで、階高(2.4m)を抑えることができ、物理的にも近い距離感になり、より家族の気配が感じられる。
共働き夫婦のために2ヶ所のテレワーク対応可能なスペースを提案。1階はキッチン横のPCスペース、2階は吹抜けに面したスタディーコーナーにより夫婦同時のテレワークにも対応できる計画とした。また、家事負担の軽減のため、洗濯→干す→畳む→しまうの一連の動作を集約するよう、脱衣室、洗面・サンルーム、クロークを近接させ配置し、家事動線が短くなるように配慮した。
施工面において、十分に自然乾燥させた杉、桧材を中心に材料を吟味し、熟練の棟梁による墨付け・手刻みにより軸組を組み上げ、造作材も杉中心に使用し、仕上も自然素材中心に仕上げることで、伝統技術の継承とともに環境と健康に配慮した。
撮影:穂坂昭