幹線道路からは一本入り、北から南側に40cmほど下っている敷地。北・西側は住宅(2階建て)が建っていて、南・東側が道路の角地。道路側の南・東側は抜けや採光の環境は良いが、道路からの視線が気になる周辺環境である。
隣家のある北・西側に閉じ、抜けや採光条件の良い南・東に対して開くようなL型の形体の建物とし、窓の高さや配置に気を使い、塀や薪置き場、植栽なども配置することでプライバシーの確保に努めた。土地の低い南側に床レベルを下げて比較的天井高の低くてよい諸室(寝室・和室)を2階建てとして配置し、北側に生活の中心の場であるLDKを周囲からの視線を遮ってから、南側の大きな窓から採光・通風を取り込めるように配置した。それらの空間を建物全体に1枚の流れ屋根をおおらかに架けることでゆるやかに結び、プライバシーを確保しつつ風・光・緑を取り込む開放感のある住空間を実現した。
共働き夫婦のために、家族のウォークインクロークを水廻りやサンルームに隣接させ、[洗う]から[収納]までの洗濯動線集約を図るなど家事負担の軽減になるよう計画した。また、将来の家族が増えることや、両親との同居も視野にいれ、簡単な工事でライフスタイルの変化にも対応できるよう計画とした。
撮影:穂坂昭