敷地の北側は新潟へ向かう国道に面しているため車通りも頻繁にあり、道路からは傾斜をつけながら最大で1m程度下がっている敷地。道路からの視線を考慮しつつ、地盤面の高低差を利用し建物を四層の構成とした提案をした。
[一層目] 玄関から進むとリビングを通り、バリアフリーを考慮しご両親の部屋、水廻り、ファミリークロークを配置。
[二層目] 一層目から60㎝上がるダイニングキッチンのフロア。ダイニングの天井は三層・四層目の天井まで吹抜け。名実ともに中心の場として計画。
[三層目] 2階フロア:家族それぞれの個室とスタディスペース
[四層目] 2階レベルから少し上がったピアノスペース
家全体を空間的なつながりを意識しながら階層を分けたことで、立体的に視線が抜け広がりある空間になり、それぞれに過ごす家族が気配を程よく感じられる距離感になるよう図った。それと同時に床の高さの違いにより家族間の視線をずらすことでプライベートを大切にしたいときにはしっかりと個人の時間を過ごせるように計画をした。
名実ともに家の中心の場として計画した二層目のダイニングキッチンは北側配置にも関わらず、吹抜け越しの三層目南側の開口からも採光・通風を確保し、北側に大きな高窓を設けることで、国道を走る車両からの視線を遮りながらやさしく安定した明るさを家全体に届ける。また尺角以上のケヤキ通し柱や薪ストーブの煙突が立ち並び、大きな梁が渡る吹抜けは、重厚感と開放感を味わう、圧巻でありながら木香る温かみある空間となった。
階が四層に重なる様や、ご家族の“この上なく喜ばしいこと”がこれからも重なっていくことの願いも込め「重畳(ちょうじょう)の家」と名付けた。
撮影:穂坂昭