平成22年に町全体が景観計画区域に指定された中之条町に建つ住宅。県産材の杉をポイントに使い、建物の外観は他人のものでもあるということを特に意識したデザインを心掛けた。敷地面積が40坪弱で、その上、崖地も絡み、さらに限られた敷地をいかに有効的に使用するかが課題でもあった。2台分の駐車スペースも確保しなくてはならないということもあり、3階建て5層のスキップフロアによる計画とし開放的な住空間を目指した。
スキップフロアにより生活の中心の場である2階LDKまで緩やかに上がれるように計画し、吹抜けによる縦方向の広がりと、大開口により外部とのつながりを持たせることで視覚的な空間の抜けを演出。各居室の窓からは榛名山を望むことができるなど、小さいながらも決して狭さを感じさせない住空間を提案した。大正ロマンのような落ち着いた雰囲気がお好みの奥様のために、キッチン壁の表情のあるタイルや建具などにはめ込んだ手作りガラスをアクセントとし、住空間全体を落ち着いたトーンに仕上げた。
撮影:穂坂昭