街道から一本入り、住宅や畑が点在する閑静な場所。元々所有されていて空き地であった広い敷地は、ヤギを飼育することによって管理をしてきた。
弁護士である施主の「さまざまな問題を抱えた方が日々相談に訪れる場所。それゆえ依頼者にとって居心地のよい場所にしたい。」という思いのもと、訪れる人を明るく包み込むおおらかな法律事務所を目指すとともに、その特性からプライバシーの確保やセキュリティーの重要性も求められた。
建物を道路から角度を振った配置とすることよってできる駐車場の形状は、奥へ進むほど広がることで、駐車のしやすさだけでなく、エントランスに設けたコンクリート塀や建物のボリュームと併せて、駐車した車が周囲から見えにくくなるなど、依頼者がプライバシーを確保しながら来訪できるよう配慮した。
また、南面に依頼者と打合せを行う相談室や、弁護士が執務する弁護士室を配置し、明るく温かい雰囲気の中、庭の緑や先住のヤギにふと目を留めたりしながら、依頼者の癒しや弁護士のリフレッシュに繋がるよう図った。
事務室は執務しやすい環境となるように北側に配置し、高窓を設けることで安定した柔らかな明るさを室内に届けた。道路側に面しながら、各室への経由となるような位置であるゆえ、スタッフによる来訪される方の対応や建物全体の管理のしやすさにも配慮した。
撮影:穂坂昭